八田工業株式会社
環境負荷の少ない省エネルギー技術で、地域の産業界に貢献
真空の状態で金属を加熱・冷却し、硬さやねばり強さ、耐食性を与える真空熱処理は、金属の酸化を防ぐ優れた特性を持つ熱処理法です。
八田工業(株)は、刃物の真空熱処理を主な事業とし、地域の産業界をはじめ、全国のカスタムナイフメーカーから厚い信頼を得てきました。さらなる短納期・低コスト・省エネルギー化をめざし、真空熱処理炉での加圧ヘリウムガスの冷却に関する技術開発計画を作成し、今回の「特定研究開発等計画」として認定されました。現在、長期的視野で計画実現への挑戦を続けています。
将来性を見込み、真空炉を35年前に導入
真空熱処理のほか、低温処理で金属の表面を硬くするイオン窒化処理や、高精度な切削加工法であるワイヤ放電加工などを手掛け、高品質の粉末刃物鋼の発売元としても注目されている八田工業(株)。
堺商工会議所による堺ブランド「堺技衆」(2008年)の認証も受けています。昭和54年、関連会社である(株)八田製作所から分離独立し、設立から30年近くになりますが、真空熱処理炉の導入は、それ以前の昭和40年代のこと。エネルギー効率の高い真空熱処理に将来性を感じ、現社長の隅谷哲三氏が導入に注力しました。
「地域密着型の企業として、新技術をできるだけ低コストで安定供給し、地元のより良いものづくりに役立てたいとの思いが強くありました」と、隅谷社長。今回認定された計画は、その思いを引き継ぐ隅谷賢三専務ら5人のメンバーによって進められています。
公的支援活用セミナーに参加し、認定申請
今回の計画を申請するきっかけとなったのは、平成20年2月に当センターが主催した公的支援制度活用セミナー。隅谷専務は、当センターの北原技術巡回アドバイザーから情報を得て同セミナーに参加し、「特定研究開発等計画」の認定制度を知りました。当日は「同業者を含め、堺市内の企業が数多く参加していて刺激を受けました。また、応募の意志を確認され、挑戦の意欲が高まりました」と、隅谷専務は語ります。
セミナー参加後、北原技術巡回アドバイザーの勧めで、府立産業技術総合研究所や中小企業基盤整備機構の支援を受けながら、同年3月に「真空熱処理炉加圧ヘリウムガス冷却の実践的研究によるマルストレッシングの濃度管理技術の開発」計画の認定申請書を提出しました。これは、環境意識の高い欧州で先行し、国内ではまだ普及していない環境にやさしい加工技術です。
短納期・低コスト・脱石油化をめざして
今回認定を受けた同社の技術の特徴は、油や窒素ガスを使う真空熱処理に、高圧ヘリウムガスを使用すること。油を使わないため洗浄工程が省けるほか、高圧ヘリウムガスを回収装置で循環利用する計画で、省エネルギーと脱石油化が可能となります。また、高圧ヘリウムガスを用いれば、従来は難しかった金属でも真空熱処理が行えるようになり、短納期化も可能です。
隅谷専務は「この技術が実現すれば、地域の産業界に新たな貢献ができるでしょう」と笑顔をのぞかせます。
認定のポイントは、「実践的な技術開発の計画であったこと」と、北原技術巡回アドバイサーは分析しています。環境負荷を抑え、地域の産業界に波及効果を与える次世代の技術として実現が期待されます。

真空熱処理炉

隅谷 賢三 専務と北原 洋爾 技術巡回アドバイザー

隅谷 哲三 社長
会社概要
| 会社名 | 八田工業株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 堺市中区八田西町2-18-40 |
| TEL | 072-277-7227 |
| FAX | 072-277-8960 |
| URL | http://www.hatta.co.jp/ |
